宮部みゆき『きたきた捕物帖』

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やっぱり宮部みゆきの江戸ものはいい。「人々の生活感とともに、人間の業が描けているか、ということかもしれません。登場人物をただ動かすのでは足りない。彼らの生い立ち、今の時代に置き換えたらどんな人物で、どんなふうに悲しむのか…。それらを自分の中で突き詰めて、掘っていく。そうすることで、作品に込めるものが心を持ってくるはずだと思っています」そのように言う宮部みゆきの時代小説には、時にはっとさせらることがある。主人公の北一の心の中の言葉にだ。ヒーローではない若い北一の成長も一緒に楽しんでいきたい。